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 メキシコのお酒テキーラは、アガベから造られます。

アガベは、メキシコを中心に北アメリカ大陸南西部から中米のカリブ海沿岸地域の乾燥地帯に生息する多肉植物です。サボテンと生息域を共にし、リュウゼツラン科(Agavaceae)リュウゼツラン属(Agave)の単子葉植物です。

15世紀にコロンブス等によって発見され初めてヨーロッパに持ち込まれました。「アガベ」の名は、ギリシャ神話に登場するアガボス神に由来すると言われており、高貴を意味します。

日本では明治以後に輸入され、その形状が竜の舌に似ているところから「竜舌蘭」の和名を持ちますが、言うまでも無く蘭科植物ではありません。アガベには、成長すると巾が5メートルに達する巨大種から、20センチにも満たない小型種まで、約150種ほどが確認されています。

Agave saisarana

アガベは有用な植物として、古代アステカやマヤの人々の暮しに登場します。アガベ・サイザラーナは葉の繊維からサイザル麻が織られています。また、食料として食べられたほか、甘い樹液は、アガベ・シロップとして今も販売されています。近年メキシコの世界遺産として良く知られるようになったお酒テキーラは、アガベ・テキラーナの葉を落とした後の成熟した球形の茎から造られます。

Agave tequilana (young plant)

 アガベの育て方

温度管理:アガベは赤道周辺の乾燥地帯に生息していますから、日中の最高気温50℃にも耐えます。また、なかには1,000メートル級の高山に生息するものもあり、それらは-25℃にも耐えることができます。ですから、一日の気温が最低気温0℃から最高気温40℃ほどであれば、全ての種を栽培することができます。

 コールド・ダメージ

水やり:春から秋にかけては、2週間に1回程度夕方に鉢底から水か流れるくらいたっぷりとやります。夏の高温時には週1回でもよいでしょう。アガベは半年間水を与えなくとも枯れません。水のやりすぎは根腐れの原因になりますから注意しましょう。

冬期間は、水はやりません。室内の場合は、一日の最低気温が5℃以上保たれれば月に1回程度の水やりが可能です。最低気温が4℃以下では水をやりません。種類によっては葉にダメージを受けます。しかしアガベはサボテンのように休眠期がないので、温度さえあればいつでも成長します。

用土:赤玉土に軽石(小粒)

肥料:腐葉土・化学肥料など

 アガベの病気

 

炭疽病:秋から春にかけて現れるカビの1種です。初めは葉上に黄緑色の汚れが現れ、拡がります。その後鉄サビのような赤茶色に変化します。あるいは、突然葉状に黒っぽい点が現れ次第に円形に広がります。人体に感染すると死に至るとされるあの恐ろしい炭疽菌(ウイルス)ではありません。紛らわしい名前ですが植物に現れるカビの1種です。炭そ病菌と表記した方が良いと思います。

富山県農業技術センター野菜花き試験場の築尾嘉章農学博士に、この菌を培養検査していただいたところ、アガベ属にのみ現れる炭疽病菌と判明しました。アガベ属で確認される唯一のカビとのことです。この菌は摂氏15度から20度の間で活動し、水やりを介して広がります。春や秋の水やりは、葉面にかからないように行う工夫が必要です。

定期的にダイセン水和剤(ジマンダイセンなど)を散布し、発生を抑える。また、写真のように発生した場合は、患部を切り取り、水溶きした濃い殺菌剤を塗布し広がらないように注意したいです。望ましいのは、思い切って発生した葉そのものを削除することです。葉の付け根からすべて取り去ります。

これまでの、黒点病や黒星病・サビ病などの誤った記述につきまして、訂正しお詫び致します。

 

 炭疽病                              

 アガベの害虫

 
カイガラムシ:アガベにつく害虫の代表は「カイガラムシ」です。白く小さな綿のようなものがよく見られますが、この中にカイガラムシの幼虫がいます。放置するとアガベを食害し、小さな白っぽい凹みを残します。成虫は主に株もとの根の付け根あたりにいて根から樹液を吸い取り株の勢いを弱め、衰弱させます。
白いものが見受けられましたら、殺虫剤(オルトラン水和剤)を噴霧します。成虫に対しては、土の表面に撒いて根から吸収させる薬剤がありますし、株を鉢から抜き取り根についているカイガラムシを歯ブラシなどで取り去る方法も有効です。カイガラムシは夏の気温が高い季節には、どのような殺虫剤も根絶させる力が無いと言われていますから、見つけ次第薬剤散布します。冬の終わりから早春2〜3月中に集中的に薬剤散布するとかなり効果があると言われています。
アザミウマ:アガベの中心部から展開している新しいに葉に虫が這った跡のような傷や引きつったような歪み変色が表れることがあります。これは、肉 眼では捉え難いほど小さなスリップス(アザミウマ)が、新しく開きつつある葉の隙間から深部へ進入し食害した跡です。葉の伸長にともない傷も大きくなり赤錆のよ うな色に成り見苦しくなります。虫を殺さない限り潜伏し傷は引き続き現れます。
しかし、一般的な殺虫剤の噴霧では、虫まで届かず退治できません。やはり薬剤(オルトラン粒剤など)を鉢内に撒いて根から吸収させるしかありません。